競技パフォーマンスを上げるなら、脱力!
こんにちは、八巻です。
暑い日が続きますが、みなさんいかがお過ごしでしょうか?
今回は、スキーを滑る時の「力の入れ方」についてのお話です。
スキーヤーのみなさんは、スキーを滑る時、体には力が入っていますか?
テニスやゴルフなどの場合、
スイングする前から力が入っていると、かえって強い打球が飛びません。
スキーも同じで、滑っている間ずっと力が入っていると、
踏力は意外と弱かったりします。
筋肉の特性として、
ずっと力を継続的に入れているより、瞬間的に入った時の方がより強いエネルギーが生まれます。
私もずっとスキー、とりわけコブ斜面を滑る事に夢中ですが、
段々滑れるようになってくると共に、「体の力が抜けてくる」感覚が強くなって来たのを感じます。
体の力は抜けるのですが、しっかり荷重をかけないといけない時に
(コブの中でなら、コブに当たる時)
瞬間的に大きな力をかける事が出来るようになりました。
力を抜くためには、体を正しく積み上げる必要がありますが、
単純に力をいれない意識も最初は必要です。
あるスキー指導者のサイトで、
~コブにおいては、「リラックス」はNG である。むしろ力むことで自動的に手足に力が入り、強い削り運動、力強いストックワークにつながる。~
という一文がありました。
たくさんのその人が考えた原則が書いてある中の一つでした。
この滑りはコブをゆっくりと横滑りしながらのコブ滑走のテクでしょうが、
これで仮にゆっくりと滑れるようになったとしても、
力み癖がついてしまうので、もうそこから先へ進むのが困難になってしまうと思います。
徐行運転は出来るようになるかもしれませんが、
そこから先、「華麗にコブを駆け降りる」事は出来るようにはならないと思います。
コブが滑れない人の本質はもっと違うところにあると私は見ています。
力をどれだけ使わずに滑るかを追求した方がいいです。
一流のスキーヤーのコブ滑走、見てみてください。
リラックスして滑っていますよ。
私が苦言を呈したいのは、指導者側に「力を入れた方がいい」という考えを持っている人がいるという事。
はっきり言って、これは身体動作として間違った認識なので、
そういう人に教わった人がまた、間違った認識で覚えてしまう事が可哀想だからです。
指導者はそれだけ責任があるという事なんですから、
常に今自分が言っている事が本当に合っているのかを確認していないとダメだと思うのです。
「力んだおかげで今日は上手くいきました!」とコメントしている選手を観たことがありますか?
私は、指導者には一流の観点が必要だと思うんです。
競技者として一流ではなかった人が指導者になるケースは多いですが、
その人の競技者としての経験則のまま、他人を指導したら、
絶対に自分以上の実績を残すプレーヤーは作れないと思います。
一流の人がやっている事を研究して追求していかないと、
三流プレーヤーばかり養成するダメ指導者になってしまいます。
私の場合は、超一流の選手の動きを徹底的に分析しています。
その結果、「スキー以前の基本姿勢や身体動作が、スキー動作の基になっている」事に気がついたのです。
その上でさらに、より良い方法を加え、実は違うんじゃないかという事はどんどん捨て、
自分の理論を構築していっています。もちろん現在進行形です。
競技動作時に「〇〇を意識して」は、力みの原因になる
さて、続いての話題は、
「〇〇を意識して!」という指導の際のキューイングについてです。
スキーのイントラさんやフィットネスの指導者のみなさんに特に参考にしていただきたいです。
スキーを始め、スポーツ・ダンス・フィットネスなどの指導において、よく使われる言葉です。
”腹筋を意識して”とか、
”股関節を意識して”
とか、特定の筋肉や関節を意識するよう言葉で指示する(キューイング)事が多くあります。
「腹筋を意識して」では、伝わっていません!
まず、腹筋などの筋肉や、股関節などの関節を意識すると言っても、
それらの筋肉や関節がどこにあるのかをきちんと把握している人ってそんなにいないと思います。
ですから、具体的に指示をしているようで実は抽象的な指示に留まっていたりするのです。
腹筋を意識して動かせるように、さらに具体的な言葉でそこに導く術が必要なのです。
それは人によって伝わり方・得手不得手がありますので、
伝え方や方法をたくさん持っておくと有利です。
細かい体の部分動作の場合は、動作を出来るだけ細かくし、
細かい動作を出来るようにしていくのが得策ですが、
スキーなどの競技練習時には、出来るだけ部分的なところへの意識を向けさせない方がいいと思います。
スキーなどの競技動作は、全身の協調動作なので、
ある一定の筋肉や関節に意識を向けると、そこに意識が集中し、
全身の協調バランスが崩れて、かえって目標の動きに近づきにくくなります。
そこだけを動かそうとするあまり、体も力が入ってしまいます。
私は全身動作・とりわけスキーを教える時には、
特定の筋肉や関節の動きを意識してとは言いません。
滑りながら部分的な動きを意識させてはダメです。
部分的な動きは、滑る前に練習しておきましょう。
でもそのためには、指導者がもっと体の仕組みに精通していないと不可能です。
指導をされている皆さんにも、スキーやフィットネスのテクニックばかりでなく、
体の基本的な事をもっと知っていただきたいと思います。
そしてそれを知った上で、指導に役立てて欲しいと思います。